黒留袖に合うアクセサリーは?NGはある?マナーから選び方・おすすめまで徹底解説【40~70代向け】

結婚式や披露宴。新郎新婦の門出を祝う大切な場で、既婚女性の第一礼装として選ばれる黒留袖。格式ある装いは、着る人の品格を表し、周囲への敬意を示します。

しかし、黒留袖で結婚式に参列する際に「どんなアクセサリーを合わせるのが正解なの?」「マナー違反にならないか心配…」と、悩んでしまう方も少なくないでしょう。特に、人生経験を重ねた40代から70代の女性にとって、黒留袖の装いは、単なるファッションではなく、その方の生き方や教養までもが表れるものです。

この記事では、そんな大人の女性のために、黒留袖に合わせるアクセサリーの基本的なマナーから、上品に見せるための選び方、そして具体的なおすすめアイテムまで、プロの視点から徹底的に解説します。大切な日の装いに自信を持ち、晴れやかな気持ちで臨んでいただけるよう、あなたの疑問を解消し、最適なアクセサリー選びのヒントをお届けします。

目次

黒留袖を着用する際の「アクセサリー」基本的な考え方

黒留袖を着用する際のアクセサリーについて、まずは基本的な考え方をみていきましょう。

黒留袖とは?既婚女性の第一礼装としての位置づけ

そもそも黒留袖とは、地色が黒で、裾に絵羽模様が描かれた、既婚女性が着用する最も格式の高い着物です。

主に結婚式で新郎新婦の母親、仲人夫人、近親者などが着用します。家紋が入っており、その格式の高さから、装飾品は極力控えめに、かつ品位を損なわないものを選ぶのが伝統的なマナーとされています。

なぜアクセサリー選びが重要?上品な装いのために

黒留袖はそれ自体が非常に格式高く、華やかな装いです。そのため、アクセサリーの選び方を間違えると、全体のバランスを崩したり、品格を損ねたりする可能性があります。呉服店に勤務していた際も、黒留袖を着用する際のアクセサリーについてご質問いただくことが多くありました。通常の着物とちがい、第一礼装である黒留袖の場合はアクセサリーの有無について慎重になったほうがよいでしょう。

特にフォーマルな場では、マナーを守り、控えめながらも上品さを際立たせるアクセサリーを選ぶことが、大人の女性としてのたしなみとなります。

結婚式で恥をかかない!黒留袖のアクセサリーマナー完全ガイド

黒留袖を着用する際、アクセサリーに関するマナーは非常に厳格です。

知らずにマナー違反をしてしまうことのないよう、基本的なルールをしっかり押さえておきましょう。

基本は控えめに「つけない」が原則?伝統的な考え方

黒留袖は、そのものが「礼装」であり、主役は着る人ではなく「場」であるという考え方から、装飾品は極力控えるのが伝統的なマナーとされています。特に、大振りで華美なアクセサリーは、結婚式というフォーマルな席の雰囲気にそぐわないとされています。

結婚指輪はOK?婚約指輪は?フォーマルな場での指輪の扱い

結婚指輪は、日常的に身につけるものであり、夫婦の絆を示すものとして、黒留袖を着用する際も問題なく着用できます。むしろ、着用するのが自然でしょう。

婚約指輪もパールやダイヤの華美でないものは、黒留袖に合わせてもOK。ただし、あまりに多くの指輪を着けていると派手になって黒留袖の格式を損なう恐れがあります。身に着けるリングは1~2個までにするのが安心です。

ピアス・イヤリングは避けるべき?着用可否の基準

基本的に、ピアスやイヤリング、ネックレスは、黒留袖を着るフォーマルな場においては着用しないのが原則です。特に、揺れるタイプや大ぶりのデザイン、きらびやかな素材のものは避けるべきとされています。

しかし、近年では、一粒の真珠や一粒ダイヤのピアスやイヤリングであれば、許容される傾向にあります。ただし、地域や家、出席する結婚式の雰囲気によっては避けた方が無難な場合もあります。迷う場合はつけない、または周りの慣習に従うのが一番です。

腕時計はNG?

着物の場合は基本的には腕時計は着けないのが一般的です。理由としては、腕時計の装飾等で着物の袖の生地を傷めないため。黒留袖に腕時計を着けてもまったくマナー違反ではありませんが、デザインによってはフォーマルで格式高い黒留袖の品格を損なうことも。

着物の時には、帯にしまい込む「懐中時計」がおすすめ。ただし、現代ではスマートフォンを持つことが多いので、あえて腕時計や懐中時計を用意する必要はないともいえるでしょう。

ヘアアクセサリーは?かんざしがおすすめ

黒留袖の際のヘアアクセサリーは、和装用のかんざしやコームがおすすめ。

黒のかんざしにパールやビジューが上品についたデザインや、べっ甲などがふさわしいでしょう。黒留袖の装いに華やかさをプラスしたい際は、無理にピアスやイヤリングを着けずとも、ヘアアクセサリーで上品な輝きをプラスするのがおすすめです。

真珠のアクセサリーは例外?安心して身に着けられる理由

真珠(パール)は、「涙の象徴」とも言われることから、お葬式などの弔事のイメージが強いかもしれません。しかし、真珠は古くから「慶びの席」でも用いられる宝石として認められています。上品で控えめな輝きは、格式ある黒留袖の装いにも調和し、奥ゆかしさを添えてくれます。

一粒パールのピアスやイヤリング、指輪であれば黒留袖にもふさわしい上品な雰囲気。ピアスやイヤリングはあまり大振りのものではなく、小さめのパールを選ぶのがおすすめです。

迷った時の最終判断!TPOに合わせたアクセサリー選び

もしアクセサリー選びに迷ったら、「つけない」という選択肢が最も安全です。あるいは、親族間で相談し、事前に慣例を確認するのも良い方法です。何よりも、TPO(時と場所、場合)をわきまえ、場の雰囲気にふさわしい、品格ある装いを心がけましょう。

黒留袖に合うアクセサリーの選び方とポイント

限られた選択肢の中で、いかに上品に黒留袖に合うアクセサリーを選ぶか。ここでは、具体的な選び方のポイントをご紹介します。

素材で選ぶ:真珠、べっ甲など格式高い素材を厳選

黒留袖に合わせるアクセサリーの素材は、やはり真珠(パール)が最適です。その落ち着いた光沢は、黒留袖の持つ重厚な美しさを引き立てます。

その他、髪飾りなどではべっ甲も格式の高い素材として知られています。天然素材ならではの温かみと上品な艶は、和装によく映えます。

デザインで選ぶ:シンプルで控えめなデザインの重要性

アクセサリーのデザインは、シンプルで控えめなものを選ぶのが鉄則です。一粒パールや、ごくシンプルな一連のネックレスなど、主張しすぎないデザインを選びましょう。大ぶりのものや、たくさんの装飾がついたものは、黒留袖の品格を損ねてしまいます。

サイズで選ぶ:全体のバランスを崩さない適切な大きさ

アクセサリーのサイズも重要です。大きすぎるものは悪目立ちし、小さすぎると存在感がなくなってしまいます。特にネックレスやイヤリングの場合、ご自身の顔や首のラインに馴染む、バランスの良いサイズを選びましょう。一般的な真珠のネックレスであれば、珠の直径が7~8mm程度のものが使いやすいでしょう。

色で選ぶ:黒留袖に調和する色の選び方

黒留袖に合わせるアクセサリーの色は、白または真珠の色味が基本です。ゴールドやシルバー、カラーストーンなどは、原則として避けるべきです。真珠の持つ上品な白色は、黒留袖の漆黒に美しく映え、洗練された印象を与えます。

着用する場合の注意点:他の装飾品とのバランスと統一感

もしアクセサリーを着用する場合は、他の装飾品とのバランスを意識しましょう。例えば、真珠のネックレスをするなら、イヤリングも真珠にするなど、素材や色味を統一することで、より洗練された印象になります。帯留めや帯締めなどの和装小物も、全体の雰囲気に合う上品なものを選んでください。

黒留袖におすすめのアクセサリー例|上品な装いを叶えるアイテム

ここからは、黒留袖の装いにふさわしい、おすすめのアクセサリーを具体的にご紹介します。

真珠のイヤリング・ピアス(控えめな一粒タイプなど揺れないデザイン)

耳元にさりげない輝きを添えるなら、一粒の真珠のイヤリングやピアスが最適です。耳たぶにピタッとフィットするタイプや、ごく短く揺れないデザインを選びましょう。真珠の大きさは、7mm~8mm程度が上品に見え、おすすめです。

↓こちらはリーズナブルでありながら、本物に近い光沢と重厚感でコスパ◎。


↓こちらはあこや本真珠。黒留袖にふさわしい確かな品格で耳元を上品に彩ります。


べっ甲やパール付きかんざし(上品なまとめ髪に)

髪を美しくまとめるかんざしは、黒留袖の装いに欠かせないアイテムです。特に、べっ甲製のかんざしは、その独特の光沢と温かみのある風合いが、和装の品格を高めてくれます。べっ甲風の色味のものや、黒地に蒔絵のかんざしも黒留袖にふさわしい雰囲気です。

さらに華やかさを求める方には、パールやビジュー付きのかんざしもおすすめ。シンプルながらも洗練されたデザインを選ぶと、より一層上品な印象になります。

↓以下黒留袖におすすめのかんざしです。着用する留袖やご自身の雰囲気に合わせて、お好みでお選びください。





その他の和装小物(帯留め、帯締め、草履バッグの選び方)

アクセサリーとは少し異なりますが、黒留袖に合わせる和装小物も、装いの印象を大きく左右します。

  • 帯留め: 一般的に、黒留袖には白に金糸・銀糸の入った帯締めを締めます。

ただし、パールなどがあしらわれたフォーマルかつ上品なデザインの帯留め、珊瑚の帯留めなどは黒留袖に合わせてもOKです。その場合は合わせる三部紐も、白やシルバー、または金糸銀糸のデザインを選びましょう。



  • 草履バッグ: 金銀などの礼装用で、留袖の柄や帯と調和する格調高いものを選びます。金糸・銀糸で織られた帯地のものが上品です。

黒留袖に合わせる小物はどれも、過度に装飾的なものやカジュアルなものは避け、全体の統一感を意識して選びましょう。

知っておくと安心!黒留袖に関するよくある質問

黒留袖のアクセサリーについて、呉服店勤務時代にお客様からよくいただいた質問にお答えします。

Q. 親族の結婚式で黒留袖を着る際、アクセサリーは必要ですか?

A. 親族として出席する場合も、基本的なマナーは変わりません。一粒の真珠のイヤリングやピアスは着用可能ではありますが、原則はアクセサリーなしでも問題ありません。むしろ、マナーを重視するならつけない方が無難な場合もあります。親族間での取り決めや、地域性を考慮するとより安心です。

Q. 黒留袖に合うバッグや草履の選び方を教えてください。

A. 黒留袖に合わせるバッグや草履は、金や銀、または黒を基調とした礼装用のものを選びます。金銀の糸で柄が織り込まれたバッグが一般的です。草履は、鼻緒が太く、台が高めのものが格式高く見えます。バッグと草履はセットになっているものを選ぶと、統一感が出てより上品な印象になります。

Q. 黒留袖のレンタルはどこですればいいですか?

A. 黒留袖のレンタルは、全国展開している着物レンタル専門店や、百貨店の貸衣装サロン地域の呉服店などで可能です。最近では、オンラインの着物レンタルサービスも充実しており、自宅で試着して選べる手軽さも魅力です。品質や品揃え、着付けや小物セットの有無などを比較検討して、ご自身に合ったサービスを選びましょう。

年代ごとにおすすめの黒留袖は、以下の記事で詳しく紹介しています。

黒留袖のアクセサリーはマナーを守って上品な装いを

黒留袖のアクセサリー選びは、その場の格式を理解し、品格を重んじることが何よりも大切です。伝統的なマナーでは控えめにすることが推奨されますが、現代では真珠のアクセサリーであれば許容される傾向にあります。

大切なのは、「控えめであること」「上品であること」「黒留袖の格式にふさわしいこと」。これらのポイントを押さえてアクセサリーを選ぶことで、あなたの黒留袖姿はより一層、美しく、そして品格あるものになるでしょう。結婚式などのお祝いの席で、自信を持って、堂々とした立ち居振る舞いをしてくださいね。

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この記事を書いた人

長年の呉服店勤務経験を活かし、現在は着物アドバイザーとしてライター業を中心に活躍中。着物や振袖を楽しむためのお役立ち情報を発信している。5才男児の母親。

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